以心伝心


東京へ戻る前に僕のパワースポット清洲城公園へ。
残念ながら桜はチラホラ・・・僕は桜満開時にこの道を通るのが大好きだ。
いつもなら天気が良い日は立ち寄って清洲城跡で戦国武将を偲んで思いに耽っているところだが・・・この日は車すら止められないほど混雑していたので諦めて実家へと向かった。


親との約束時間よりまだ早かったので・・・レンゲ畑を探しに稲沢方面へ迂回してみたがコチラもまだ早くまたまた残念。僕の地元ではイモ沢と呼ばれていた稲沢だが、相変わらず牧歌的でのどかな光景が続いてる。
昔は実家周辺にあったレンゲ畑も開発が進んでしまった今では全く存在しない。来年のDEEPファームは休耕してレンゲを咲かせてみようと企んでいるのだ。レンゲ畑は心が和む。


ほぉ、今時は珍しい・・・火葬場だ。
何人かの稲沢女性と付き合っていたことがあるので何度か目にしたことがあるハズの光景だが、よく考えてみればそれから20年近く経っているので懐かしいとゆうよりも新鮮だった。
変わらないコトも悪いコトではない。
思い出は思い出すキッカケが要る。何かしらの復元ポイントが必要なので変わって欲しくない景色もある。


稲沢を抜けて地元の裏道へさしかかると、ところどころに染み付いた思い出が蘇ってくる。自販機一つにさえも、何度か上書きされた思い出の数々が頭を過ぎってゆく。
別れた後、離れた後に好きとゆう感情が高まる女っているよね。故郷ってそんな感じ。
時が経つにつれ、思い出の美化が進んで嫌う理由を失ってゆく。


女と生活環境はやっぱり似てる。
故郷に戻りたいのか?
何度も考えたことがあるが・・・戻れない。
それも女と似てる。
帰ることはあっても、戻れない。

肉体や環境が変わり果ててもキモチだけが残る。
想いだけが残る。









夜は父と尾張温泉へ。
父はココが大好きで、昔はよく2人で行ったものだ。
僕が行きたい素振りを見せると父は『連れてってやる!』と喜ぶので、昔は付き合ってあげているツモリだっだが・・・
今回は僕自身が久しぶりに行きたくなったので、ハナからそのツモリで帰省して声をかけると思いのほか喜んでいた。
父も数年前に病気を患ってから自制して行く回数を減らしたのだそうだ。
何度も何度も来ているので、ここ1〜2年のブランクかと思いきや・・・気がつけば6〜7年ぶりだと父から聞かされてハッとした。よく考えれば、ホント久しぶりの水入らずなのだ。

そんなに経ったのか・・・。
数年前まで我が家の事情により両親別々にしか会うコトが無かったので・・・
ここ数年はなるべく両親そろって会うように心がけていた。
父と2人で男同士の時間がほとんど無かったので、ココへ来る機会も無かったとゆうわけだ。
そっか・・・仕事をヤメると父の意向や価値観に反して過ごしてきたから・・・父も言い出せなかったのか・・・。
並んで湯船に浸かり長々と語り明かした。嬉しく楽しく思えた。
穏やかにほころぶ父の横顔を見てると・・・自分が悪いコトをしているかのように思えて・・・
こんなチャレンジ人生などヤメて、彼が求める未来を演じてあげ続ければ親孝行なのに・・・。

父が果たせなかった独立開業とゆう夢を適えて、強いて夢を潰してしまった僕。
身を切って応援してくれた父の価値観を罵倒してまで自分の人生へ走った今が申し訳ないばかりだった。
僕の血みどろ人生方向転換劇を心配する父に・・・
『なぁオヤジ、自分の人生に後悔したことは無いか?』と尋ねると、予想通り寂しそうに無いよと答えたので・・・
いつだか、やしきたかじんさんが仰っておられた言葉を伝えた。

『今後悔しなきゃ、いつ後悔すんねん?・・・だとさ。』
父はしばらく考えて、なるほどな・・・と、笑った。

それから岐路も父は上機嫌だった。
誤解の多い僕の言動に、誤解が無いよう父に伝えたかったんだ。
いつも違う道を使って、いつも同じ実家へ帰って来てる。未来だって同じだ。
そう伝えたかったのだが、こそばゆくて自分の言葉じゃ言えなくて・・・
たかじんさんの言葉を引用したが、なんとなく伝わった気がした。